研究成果のご紹介

運動・食事療法とブラジル産プロポリスの併用は
2型糖尿病患者の合併症を防ぐ

京都府立医科大学大学院 医学研究科 丸中 良典(2011年度採択)

平成24年度に厚生労働省が実施した国民健康・栄養調査によると、国内で糖尿病の可能性がある人は、「糖尿病が強く疑われる人」950万人と、「糖尿病の可能性を否定できない人」1100万人を合わせた2050万人いると推定されている。

糖尿病は、「合併症の病気」と言われているように、糖尿病だけでは自覚症状はないが、気付かないうちに血管障害による様々な合併症が引き起こされる。その中でも特に多いのが、三大合併症「網膜症」、「腎症」、「神経障害」である。「網膜症」は、網膜の血管障害で、進行すると、失明する恐れがある。「腎症」は、細かい血管の集まる腎臓の糸球体における血管障害で、症状が進むと人工透析(※1)に頼らなくてはならない。「神経障害」は、手足など末端組織の毛細血管に障害が生じ、血流が低下することで、手足のしびれや痛み、顔面の神経麻痺などを引き起こす。最悪の場合は「壊疽」によって手足を失う危険性もある。糖尿病は予防が大切だが、糖尿病と診断された場合も進行を防ぐ必要がある。
※1人工透析…人工的に老廃物や不要物を血液中から取り出す治療

一方、糖尿病患者の約9割を占める2型糖尿病患者の初期症状として、インスリン抵抗性(※2)の状態に陥るが、ブラジル産プロポリスは、インスリン抵抗性を改善する可能性が示唆されている。
※2インスリン抵抗性…血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくい状態

そこで、京都府立医科大学大学院・丸中良典教授らの研究グループは、ブラジル産プロポリスが2型糖尿病患者の全身に及ぶ代謝疾患に関わる因子に与える影響を検証するため、プラセボ対照二重盲検試験を行った。プラセボ対照二重盲検試験は、被験者をグループ分けし、それぞれのグループが飲用しているものがプロポリスなのかプラセボ(外見は被験品と同一であるが、成分としては効果が無いもの)なのか、被験者にも観察者にも分からないように実施する科学的信頼性の高い試験方法である。

試験ではまず、80人の2型糖尿病患者を2グループに分け、食事療法や運動療法を継続した状態で、ブラジル産プロポリス、プラセボのどちらかをそれぞれ8週間飲用してもらい、血液検査により糖代謝、腎機能等の評価を行った。

その結果、ブラジル産プロポリスを飲用したグループと飲用しなかったグループのいずれにおいても、糖代謝の指標であるインスリン抵抗性指数や血糖値の悪化は見られなかった。一方、腎機能を示す血液中の尿酸値や、上皮成長因子受容体(eGFR)の値は、ブラジル産プロポリスを飲用しなかったグループでは、値が悪化したのに対し、ブラジル産プロポリスを飲用したグループでは、飲用前と同レベルに保たれていた(図)。

ブラジル産プロポリスはナイーブヘルパーT細胞からTh1細胞への過剰な分化を抑制することで、炎症性腸疾患の悪化を防ぐ可能性が示された。

以上の結果から、運動・食事療法に併用してブラジル産プロポリスを飲用することは、2型糖尿病患者における「尿酸値の上昇」、及び「腎機能の悪化」を抑え、合併症を防ぐことが示された。

尿酸値の上昇は、高尿酸血症を引き起こし、痛風を発症させることが一般的に知られている。さらに、狭心症や高血圧症、心筋梗塞や脳血管障害などの命に関わる恐ろしい疾病を引き起こす確率を上昇させることも近年報告されていることから、適切な食事管理、日々の運動に加えてブラジル産プロポリスを飲用することは、全身に及ぶ重大な疾病から身を守る可能性があり、今後さらなる研究が望まれる。

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