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まえがき

このサイトについて

    このサイトの目的は、ミツバチとミツバチ産品に関する科学的な情報と知識を、研究者と一般の方の双方に、バランスよく提供することである。
    最近、ミツバチとミツバチ産品、そして養蜂業に関する関心が社会的に高まっている。ミツバチと言えば、家庭の食卓にあるハチミツや、健康食品と言われるローヤルゼリーやプロポリスをもたらしてくれる身近な蜂というイメージがある。そのミツバチが姿を消しているというニュースが北米から発信され、いまや世界に広がっている。さらに、養蜂のために我が国に輸入されていたセイヨウミツバチが、輸出国における病気の発生を理由に、輸入禁止措置がとられたことで、ミツバチの不足が我が国においても懸念されるようになった。こうした現象は、一般の消費者にはあまり気づかれることのなかった、農作物の花粉交配者としてのミツバチの役割を再認識させるものとなった。
    だが、ミツバチは農作物だけでなく、野生植物の花粉交配にも大きな役割を果たしており、地球環境の維持に欠かせない存在である。言うなれば、活発に活動するミツバチのいない世界は、地球にとっても、人間の生存にとっても適切な環境ではない。この視点から先進国の非政府機関NGOなどによって、徐々に注目されるようになってきたのが、途上国における住民の経済的な自立支援を目的とする養蜂業の振興である。また生物多様性の視点から、関心をもたれているのが、世界の養蜂家のほとんどが使っているセイヨウミツバチではない、地域固有(在来種)のミツバチである。我が国の場合なら、ニホンミツバチの保存や利用である。
    このようにミツバチは人類にとって掛け替えのない資源であり、かつ、共存仲間でもあるから、それについては膨大な記録が存在している。それらは歴史学、民族学、伝承学、自然観察、生物学、昆虫学、養蜂業、食品、工芸品、環境論など、さまざまな視点から記述されている。しかし、一般の人にとっての、バランスのとれた簡潔な入門書は案外見当たらない。例えば、実践を踏まえた養蜂家の出されている本は、大変参考にはなるが、科学の視点、とくに基礎生物学の視点から見ると、当然不十分なものである。また、ミツバチ研究者と言っても、それぞれが専門分野には詳しくとも、分野を横断したバランスのとれた知識をもつことは、なかなか難しいと思われる。とくに、ミツバチの属するハチ類には、約2万の種類があると言われている。一方で、ゲノム(生物個体が有する遺伝的な形質を担っている全DNA)の塩基配列を決定する技術が長足の進歩を遂げたことにより、多様なハチ類のゲノムの塩基配列を超高速で決定していく計画も実質的に開始されている。やがて膨大なハチ類を比較する比較ゲノム学や、ミツバチをモデル動物とする生物医学研究が本格的に立ち上がってくる可能性もあると思われる。
    もし、ミツバチやミツバチ産品に関する学問を「ミツバチ学」と呼ぶなら、この学問は、いまや大きな飛躍期にさしかかっている。また、そうした学問が力強く推進されるためには、分子レベルの世界と地球レベルの世界、専門家と好事家、非営利活動とビジネス、企業とアカデミア、商品やサービスの提供者と受け手など、異なる世界を結ぶための、情報と知識のコミュニティあるいはネットワークの構築が必要であろう。
    私たちは、このサイトが、そうした「広義のミツバチ学 Apiology」発展のための、コミュニティあるいはネットワーク構築に寄与するものであることを願っている。これは、私たちにとっては、野心的過ぎる目標であるが、このサイトを訪れた方々が「広義のミツバチ学」に関心をもっていただける契機となれば幸いである。

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