研究成果のご紹介

ブラジル産プロポリスは脂肪の摂りすぎによる体重の増加を抑える

徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 酒井 徹(2011年度採択)

昨今、運動習慣の減少や食事量の増加などによってメタボリックシンドロームの患者数が増加しており、世界的な問題となっている。メタボリックシンドロームは肥満や高血圧などの症状を呈し、心疾患や2型糖尿病のリスクを増加させると考えられている。なかでも「肥満」はメタボリックシンドロームの進行や感染症の重症化にも関与していると言われており、肥満の改善や予防は健康寿命を延ばす上で重要な課題である。そこで徳島大学の酒井氏らは、食品による体重のコントロールを目指して研究を開始した。

酒井氏らが注目したプロポリスは、ミツバチが植物の新芽や樹脂などを材料として作る食品で、古くから伝承薬として用いられてきた。様々なポリフェノール類を含有しているため、近年では健康食品や医薬品としての適用への関心が高まっている。また、プロポリスが抗酸化作用、抗菌作用および抗HIVウイルス作用などを持つことが報告されており、肥満の原因のひとつとされている活性酸素を除去する効果が期待されている。そこで、酒井氏らはブラジル産プロポリスが脂肪の過剰摂取による肥満に及ぼす影響を検証した。

酒井氏らは、通常モデルを2グループに分け(n=10)、一方のグループには高脂肪食を、もう一方のグループには高脂肪食と併せてブラジル産プロポリスを14週間摂取させた。そして、摂取期間が終了した後に、体重、脂肪量、体脂肪率を測定した。

その結果、高脂肪食のみを摂取させたグループの体重と比較して、高脂肪食と併せてプロポリスを摂取させたグループでは体重の数値が低く、体重の増加が抑制されたことが示された(図)。またプロポリスを摂取したグループでは、皮下脂肪や体脂肪率なども、プロポリスを摂取しなかったグループより有意に低く、プロポリスの摂取によって、脂肪の摂りすぎによる皮下脂肪および内臓脂肪の蓄積が抑制される可能性が示唆された。プロポリスが、世界的な課題となっている肥満の克服に貢献することが期待される。

グラフ 高脂肪食のみを摂取させたグループの体重と比較して、高脂肪食と併せてプロポリスを摂取させたグループでは体重の数値が低く、体重の増加が抑制されたことが示された

PAGE TOP