研究成果のご紹介

プロポリスが食物アレルギーを軽減する可能性

北海道大学大学院 薬学研究院 柏倉 淳一(2017年度採択)

食物アレルギーを引き起こす好塩基球

近年、日本においてアレルギー患者は増加しており、国民の2人に1人はなんらかのアレルギーをもつと言われている。アレルギーに関わる免疫細胞は様々あり、その中でも白血球の一種である好塩基球は、免疫グロブリンE(IgE)と容易に結合するタンパク質(受容体)を表面に持つ。好塩基球は、アレルゲン(抗原)によるIgE結合受容体の架橋で活性化され、慢性のアレルギー反応を起こすことがわかっている。さらに、食物アレルギーなどのアナフィラキシー(※1)にも関与することが報告されていることから、好塩基球がアレルギー対策の標的として注目されている。

※1 アナフィラキシー
急性の強いアレルギー反応

好塩基球の活性化を抑えるプロポリス

プロポリスについては、これまでに花粉症や肌のかゆみの抑制など、アレルギー対策に役立つことを示唆する様々な報告がなされている。しかし、プロポリスがIgEによる好塩基球の活性化を阻害するかは未だ不明であった。そこで北海道大学大学院の柏倉氏らは、活性化された好塩基球が、炎症を引き起こすサイトカイン(※2)を産生することに注目し、プロポリスが好塩基球の活性を抑制するかを、サイトカイン産生を指標に、試験管内にて調べた。その結果、プロポリスが好塩基球による一部の炎症性サイトカイン(IL-4, IL-6, IL-13)の産生を抑えることがわかった。さらに柏倉氏らは、プロポリスを与えた慢性アレルギーモデルでは、プロポリスを与えない対照群と比較して、好塩基球によるアレルギー反応が抑えられ、炎症が軽減することを明らかにした。以上より、プロポリスは、試験管内においても、生体内においても、IgEの刺激による好塩基球の活性化を抑えることが示された。

※2 サイトカイン
細胞から分泌される物質。細胞間の情報伝達などを担う。

プロポリスがアナフィラキシーを軽減

次に柏倉氏らは、食物アレルギーによるアナフィラキシーを、プロポリスが抑えるかを調べるため、アレルゲンを摂取した食物アレルギーモデルのアナフィラキシー反応を、プロポリスを含む溶液を与えた群、プロポリスを含まない溶液を与えた群、なにも与えなかったコントロール群の3群で比較した。その結果、プロポリス群では、プロポリスを与えなかった2群と比較してアナフィラキシーの重症度が低下した(図)。このことから、プロポリスは食物アレルギーの症状を軽減することが示された。

プロポリスは、試験管内においても、生体内においても、IgEの刺激による好塩基球の活性化を抑えることが示された。

本研究より、プロポリスは好塩基球の活性化を抑制することで食物アレルギーを軽減することが分かった。これらのことからプロポリスは、食物アレルギーを予防するために有用であることが示唆された。

 

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