研究成果のご紹介

ローヤルゼリーはドライアイ患者の涙液分泌を促進する

慶應義塾大学 医学部 坪田 一男(2012年度採択)

ドライアイとは、涙の乾きなど涙の異常により、目に違和感を感じたり、物がかすんで見える疾患である。2003年時点の調査では、約2200万人が罹患していると推定されており、近年はパソコンやスマートフォンの普及により若者の間でも増加している。現在の治療法は点眼や、涙の出口である涙点に栓(涙点プラグ)をして目に涙を溜める方法などの対症療法が主流になっており、根本から治す治療法は未確立である。そのため、普段の生活の中で悪化要因を排除し、ドライアイの対策をすることが重要となっている。

これまで慶応義塾大学医学部の今田敏博氏らの研究で、ローヤルゼリーがドライアイモデルの涙液分泌量を増加させることが分かっている(詳しくは「食によるドライアイ予防を目指して〜アンチエイジング素材・ローヤルゼリーで発症を防ぐ〜」参照)。そこで、慶應義塾大学医学部の坪田一男氏らの研究グループは、実際にドライアイ患者にローヤルゼリーを飲用してもらい、ドライアイに対するローヤルゼリーの有効性を検証した。

坪田氏らは、シルマー試験()を用いて涙液分泌量を測定し、ドライアイと確認できた20名を2グループに分け、10名にローヤルゼリーを7,200 mg(生ローヤルゼリー換算)、10名にプラセボを、それぞれ8週間飲用してもらった。飲用開始から4週間後と8週間後にそれぞれ、シルマー試験紙を用いて涙液量を測定した。通常、シルマー試験紙に染み込んだ涙液が10 mm以下の人をドライアイの疑いがあると判断する。

試験の結果、シルマー試験紙に染み込んだ涙液が10 mm 以下の人においてローヤルゼリーを飲用したグループは、プラセボを飲用したグループと比べて、涙液量の有意な増加が見られた(図)。

以上の結果から、ローヤルゼリーは、身体の内側からドライアイを予防・改善することで、眼の健康に役立つ可能性が示唆された。

ローヤルゼリーは、身体の内側からドライアイを予防・改善することで、眼の健康に役立つ可能性が示唆された。

シルマー試験とは
ドライアイの状態を調査する為の検査方法。
大きさが5cmほどの細い濾紙(涙紙)の一端を少し折り曲げてまぶたに挟み、5分後に濾紙に染み込んだ涙液量を測定する。通常これを両目とも測定する。

シルマー試験

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