加齢による筋力の低下(サルコペニア)に対する
酵素分解ローヤルゼリーの有効性A
〜高齢者を対象とした臨床試験による検証〜
天津医科大学(中国)牛 凱軍(2008年度採択)
2050年には65歳以上の高齢者が世界で15億人に達すると言われている。老化に伴って筋力は低下し、日常的な動作が制限されるため、介護なしでの生活が難しい高齢者も増加する可能性がある。介護の問題は、本人だけではなく、介護者の苦しみも引き起こす場合がある。また、保険料の増加や人手の不足といった社会的な問題も深刻である。高齢者が介護を必要とせずに生活するためには、筋力の維持が重要である。
筋力の低下はサルコペニアと呼ばれている。握力が男性で25 kg未満、女性で20 kg未満だとその疑いがあり、専門家の診断が必要となる。
ローヤルゼリーは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸を豊富に含み、寿命を延ばす作用や骨密度の低下を抑える作用、抗酸化作用など、様々な働きが報告されている。これまでに牛氏らは、ローヤルゼリーの飲用が、筋肉の成長や再生にかかわる筋衛星細胞の増加と握力の維持に役立つことを、高齢モデルを用いて明らかにした(詳しくは、「加齢による筋力の低下(サルコペニア)に対する酵素分解ローヤルゼリーの有効性」参照)。そこで今回、牛氏らは、酵素分解ローヤルゼリーが高齢者の筋力の低下に与える影響を臨床試験で検証した。
牛氏らは、老人ホームに入居している65歳以上の被験者150名を、プラセボを飲用するグループ、酵素分解ローヤルゼリーを低用量で飲用するグループ、および高用量で飲用するグループに分け、飲用を始めてから12ヶ月後に握力を測定した。
その結果、酵素分解ローヤルゼリーの飲用量に応じて握力の低下が抑制され、高用量で飲用したグループでは、プラセボを飲用したグループよりも顕著に抑制されたことが明らかとなった(図)。
以上のことから、酵素分解ローヤルゼリーが、高齢者の筋力の低下を抑制する可能性が示唆された。ローヤルゼリーの日常的な摂取による筋力の低下の抑制について臨床で検証した初めての報告である。