山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

「健やかに」発刊録

生活習慣病がひそむかくれ肥満!見た目も体重も標準。けれど肥満の人と同じように内臓脂肪が多いという『かくれ肥満』をご存知ですか?周囲も本人も気がつかないうちに生活習慣病に進む可能性があるのが怖い点。あなたは大丈夫ですか?

標準体重でも『かくれ肥満』の可能性

肥満がさまざまな生活習慣病を引き起こし、健康の大敵であることは誰もが知っています。
では「見た目は太っていないし、体重も標準体重の範囲内」という人は大丈夫かというと、実はそうとはいい切れません。外見や体重は標準でも、体の中には肥満の人と同じぐらい内臓脂肪がついていて、生活習慣病予備群の人がいるからです。このような状態を『かくれ肥満』と呼んでいます。

かくれ肥満が怖いのはなぜ?

皮下脂肪より内臓脂肪が怖い! 女性に多い皮下脂肪型の肥満を『洋なし型』、内臓脂肪型の肥満を『りんご型』と呼びます。より気をつけたいのは『りんご型』の内臓脂肪型肥満です。

健診でも見逃されて生活習慣病の原因に

医学でいう“肥満”とは「体の中の脂肪が多い状態」です。体重が何キロであっても、体の中で脂肪が占める割合(体脂肪率)が高ければ、それは立派な肥満。標準体重や見た目には関係なく、体脂肪率が30%以上なら、脂肪を減らす努力が必要です。
体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪がありますが、問題なのは、中年期以降、内臓の周囲につく内臓脂肪のほう。内臓脂肪からはさまざまな物質が分泌され、この物質のバランスが崩れると、生活習慣病が引き起こされることがわかっています。また、内臓脂肪がたまりすぎると、長寿ホルモンといわれるアディポネクチン(コラム参照)が減ってくるので、高血圧、高血糖、脂質異常症が起こりやすくなります。これらの異常が重なると、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)が発症するリスクが通常の35 倍にもなることがわかっています。『かくれ肥満』は明らかに肥満の人と違い、本人に自覚がないので、知らない間に生活習慣病に進行していく恐れがあるのです。

善玉ホルモンのアディポネクチン

アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンで、糖尿病の予防、動脈硬化の改善、中性脂肪を減らす、血管を広げて血圧を下げるといった作用があります。ところが、内臓脂肪が増えすぎると、アディポネクチンの分泌は減少し、それにともなって悪玉物質は増加します。
最近、長寿遺伝子として話題になっている『サーチュイン遺伝子』は、少食にすることや、ポリフェノールの一種・レスベラトロールを摂取することで増えるほか、アディポネクチンがサーチュイン遺伝子を活性化するといわれます。また、サーチュイン遺伝子がアディポネクチンの分泌を高めるともいわれており、今後の研究に注目が集まっています。

  • (1)おへそのまわりが身長の2分の1以上
    ポッコリ出ている典型的な内臓脂肪型肥満。

  • (2)18歳(男性は20歳)の頃より8kg以上太った
    18 歳以降に増えた体重のほとんどは脂肪。8kg 以上の増加は要注意。

  • (3)昔はいていたスカート(ズボン)がきつい
    とくにおなかまわりがきついなら、内臓脂肪が増えた証拠。

  • (4)ダイエットに何度も失敗している
    リバウンドで増えた分はすべて脂肪。以前より体脂肪率がアップしている。

  • (5)デスクワークで体を動かさない
    若い頃に比べて運動量が減り、食べる量が同じでは太る。

  • (6)体力がなく冷え症
    運動不足で筋肉が減少し持久力が低下。代謝が悪く体が温まらない。

  • (7)現在、更年期である
    女性ホルモンの分泌量が低下し、内臓脂肪をためこむようになる。

  • (8)甘いものや揚げものが好き
    脂肪になりやすい砂糖や油を使ったものが好き。当然太りやすい。

  • (9)飲酒や喫煙がやめられない
    アルコールとタバコは、内臓脂肪をためこむし好品。

  • (10)ストレスでいつもイライラしている
    ストレスがかかると内臓脂肪を増やす副腎皮質ホルモンが増える。

かくれ肥満度をチェックしましょう

体重だけではわからない「生活習慣病予備群」を見つけ、早めに対策をとろうと、2008年から実施されているのが『メタボ健診(特定健診)』です。内臓脂肪のチェックのため腹囲(おへそまわり)を計測し、男性は85cm、女性は90cm以上あり、さらに高血圧・高血糖・脂質異常のうち2つ以上あてはまれば、メタボリックシンドロームと診断されます。
しかし、女性の腹囲90㎝というのは甘い基準ですし、身長の差が考慮されていません。一律の健診では、どうしても『かくれ肥満』の人を見逃してしまう可能性があります。では、どうすれば『かくれ肥満』に気づけるでしょうか。「中年になって体重が増え、おなかが出てくれば、内臓脂肪がついている」と考えてまず間違いありません。上の表で『かくれ肥満度』をチェックしてみましょう。

かくれ肥満者のダイエット成功のカギ

長く続けられることを始めましょう

「内臓脂肪を落とすためにやせましょう」とはいっても、無理なダイエットは禁物です。食事制限では脂肪だけでなく、代謝を上げる筋肉も減少してしまいます。
そこでおすすめしたいのが、活動量を増やすこと。無理なく長く続けられることをひとつ探し、まずはそこから始めるという方法です。それは1日10分の散歩でもかまいません。要は長く続けられるかどうかがポイントです。
最初から一生懸命すぎると続きません。あまり頑張らない程度に体を動かすことから始め、ストレスにならないように、運動を習慣づけていきましょう。

「動機」が大切

ただ「やせたい」というだけでは、長続きしません。具体的な「やせるための動機」が必要です。たとえば、昔、着ていた洋服が着られるようになりたいとか、具体的な目標を掲げることで続けることができます。

長い間の習慣を変えるのは難しい。動機がないと続かない

活動量を増やす

日常生活の中で、じっと座っていることが多くありませんか? 歩数計をつけて、1日の歩数を計ってみましょう。主婦の平均は3000 歩ぐらいなので、これを1000歩増やすだけでも大きな違いが出ます。

日常生活の中でマメに動けば消費カロリーが増える

徐々に鍛える

『かくれ肥満』の人は筋肉が少ないケースが多いので、筋肉をつける運動はおすすめ。ただし、普段、運動不足の人が急に激しい運動を始めるのは危険。活動量を増やしてから、徐々に運動習慣をつけていきましょう。

運動習慣で内臓脂肪を撃退、筋肉をつけて太りにくい体に

あなたに合ったダイエット法は、コレ!

無理な我慢やストレスは禁物

「普段、あまり食べていないつもりなのに、どうして内臓脂肪が増えるの?」というかくれ肥満の人。目立った大食いではなくても、長年の間に身についた食習慣が、知らない間に少しずつカロリーオーバーとなり、その積み重なったも無理な我慢やストレスは禁物のが内臓脂肪として体内に蓄積されているというわけです。
年齢が上がるにつれて、基礎代謝量(動かない状態でも消費されるエネルギー)は減ってきます。そのため、以前とまったく同じ量の食事をとっていても、実は1年に0.5㎏は体重が増える計算になるのです。
ここでは、それぞれの食習慣に合わせたダイエットのヒントをご紹介しています。ストレスがたまるような無理や我慢はリバウンドのもとです。少しずつでも改善していきましょう。

甘いものが好き

できない我慢より少しずつ減らす

甘いものが好きな人に「食べてはダメ」というのは無理。ストレスがたまって爆発し、過食に走ってしまうことになりかねません。1日に3個食べていた人は2個に、大きなケーキを食べていた人は一回り小さめというように、徐々に減らしていきましょう。

アルコールが好き

少量のお酒を夜8時までに飲む

お酒を飲むと食欲が増し、自制心もゆるむのでダイエットの大敵。どうしてもやめられない人は「少量のアルコール(200kcal まで:ビールならば500ml 缶1 本)を夜8時まで」というルールを守ればOKです。ただし、甘いカクテルやサワーはカロリーが高いので避けましょう。

テレビを見ながらお菓子を食べる

無意識に食べる「ながら食い」をやめる

テレビを見ようと座ると、テーブルの上にあったお菓子につい手が伸びてしまう。テレビに夢中になっているので、どれだけ食べたか自分でもわからない……。こういった“ながら食い”は、無意識のうちに習慣化し、食べたことを忘れてしまうことさえあります。手の届く範囲には食べ物を置かず、お菓子を食べるなら時間を決めたり、食事と一緒に計算して、1日の摂取カロリーの範囲内におさめるようにしましょう。

外食が多い

「3分の1は残す」を習慣に

どうしてもカロリーオーバーになりがちなので、最初から「どのくらい残すか」を決めてしまいます。丼ものや麺類なら、ごはんや麺を3分の1残すのが目安。残すことより、食べ過ぎて健康を損なうほうがもったいないと考えて。

夜食が多い

寝る3時間前からは口に入れない

夜、眠っている間は副交感神経の働きで脂肪の合成が活発に。寝る前の夜食はそのまま脂肪になってしまいます。とにかく寝る3時間前からは基本的に食べないこと。眠れないときはホットミルクを。

残りものをつい食べてしまう

「もったいない」よりゴミ箱へ

子どものいる主婦の人に多いのがこのケース。子どもが残したものを「もったいない」といって毎回食べていると、その積み重ねでカロリーオーバーに。残りものは「内臓脂肪のもと」と割り切り、思い切ってゴミ箱に捨ててしまいましょう。

イライラすると食べてしまう

5分間、気を紛らわす

「イライラすると甘いものが食べたくなる」のは、ニセの空腹感。不安感を鎮めるために脳が要求するものです。糖分を吸収するとセロトニンという物質が分泌され、それがイライラを抑えてくれるからです。この「イライラ食い」をやめるには、イライラしている自分に気づくこと。そして5分間、気を紛らわせましょう。電話でもショッピングでもかまいません。ニセの空腹感は5分間、我慢していると次第に消えていきます。

監修
岡部正先生
岡部クリニック院長。医学博士。慶應義塾大学医学部卒業後、亀田総合病院副院長を経て、岡部クリニックを設立。肥満・糖尿病専門医として、医学的見地に立った健康的で無理のないダイエットを提唱している。

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