山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

「健やかに」発刊録

あなたの腸が病気を招く?免疫力を高める「辨野博士直伝快腸生活」のすすめ

私たちの体の中で、一番病気の種類が多い臓器、それが大腸です。
そこで、病気の原因の多くを抱える腸内の環境をすっきり整え、健康の発信源とするためにはどうしたらいいのか、便研究の第一人者・辨野義己べんのよしみ先生に伺いました。

「悪玉菌」いっぱいの腸からの“お便り”

世界中から“お便り”を集めてわかったこと

世の中広しといえど、私のように日々、さまざまな人々の大便を観察・研究し続けてきた人はいないでしょう。リトアニアの高齢者、パプアニューギニアの高地民、フィンランドの母子……。世界中から大便を提供してもらった人は6000人を超えています。
なぜ、熱心に大便を集めるのか。貴重な情報が豊富に詰まっているからです。大便は、人の健康状態を教えてくれる体内からの“お便り”なのです。
健康な人の大便は、80%が水分。残りが固形物ですが、そのうち3分の1が消化されなかった食べカス、3分の2がはがれた腸の粘膜と腸内細菌です。
大便1gの中には1兆個近い腸内細菌が含まれていて、腸内に棲息せいそくする細菌の種類は1000種以上。腸内細菌の重さを合計すると1.5㎏分もあるのです。
体内に棲む腸内細菌の種類と構成比は人それぞれで、体質や年齢、食生活などによって変わります。
腸内環境が悪くなれば、さまざまな病気を引き起こします。
特定の菌がアレルギー疾患にかかわることがわかりましたし、肥満や糖尿病、認知症、大腸ガンなどと腸内細菌との関係も解明されつつあります。腸内環境をいかに上手にコントロールするかは重要なポイントです。

私自身の身の上に迫った健康の危機 !

何を隠そう、私自身、52歳のとき、体内から要注意の“お便り”が届くのに気づきました。臭においがきつく、黒っぽい色で、形も崩れぎみ。悪玉菌が増え21ページで紹介する、「腸年齢」が上がってしまったのです。そこで一念発起し、食事内容を変えました。苦手だった野菜やヨーグルト、食物繊維の多い食品を毎食5種類以上食べ、運動や趣味も楽しみました。おかげで10㎏の減量に成功。今も快便ライフを送っています。

辨野先生の体重変化の図

腸内環境は、善玉菌と悪玉菌のバランスで決まる

悪玉菌が増えると腸は老化する

健康な人の腸内環境腸内には、主に有益な働きをする細菌の善玉菌と、主に有害な働きをする細菌の悪玉菌、善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢なほうの菌になびく日和見菌ひよりみきんがいます。
善玉菌は、免疫力を高める、腸内環境を整える、腸内を酸性にして病原菌の増殖を防ぐ、コレステロールを抑制、ビタミンB群などを生成、便秘や下痢を防ぐなどの働きをします。その代表が乳酸菌やビフィズス菌です。
いっぽう病気の発生源になる悪玉菌の代表格がウェルシュ菌。腸内細菌のバランスが悪玉優位になると、免疫調整力が低下し、アレルギーなどの症状につながるなど多くの悪さをします。大便の臭いがきつくなるのも悪玉菌が作り出す有害物質の影響です。
腸内細菌の割合は、健康な人であれば、善玉菌が20%、悪玉菌が10%、残り70%を日和見菌が占めています。このバランスが崩れ、悪玉菌が増えて善玉菌より優勢になると、腸内環境はどんどん悪化。あなたの腸は老化してしまいます。

腸内環境の種類と性質

自分の腸年齢を知り生活習慣を見直しましょう

腸年齢チェック表

「腸年齢」は人によって差が出る

加齢に伴い体が老化すれば、腸も老化します。老化した腸がつくる大便はひょろひょろと細長く、ツンと鼻をつくようなきつい臭いが特徴です。トイレに行っても残存感があってすっきりしないのは、腸の老化現象のため。
けれども同じ年齢でも、人により「腸年齢」に大きな差が出ているのも事実です。その差は腸内環境の違いによって現れます。
腸年齢は、正確には大便を検査し、腸内細菌の構成などを調べなければわかりませんが、およその傾向は食事や生活習慣から点検することができます。上の「腸年齢チェック表」であなたの腸年齢をチェックしてみてください。

何歳からでも腸は若返る

腸年齢を若く保つ一番のポイントは、成長期から成人期にかけて、できるだけ善玉菌を増やしておくこと。ところが現代の若い日本人は偏った食生活による便秘や運動不足などで、腸の高齢化が進んでいます。若者より高齢の人のほうが、むしろ実年齢と腸年齢の開きが少ない傾向にあります。
若い人も、高齢の人も、腸年齢が実年齢よりも上であれば、腸内環境を改善する必要がありますし、何歳からでも腸の若返りは可能です。腸内環境は日々、変化するものだからです。
次から、腸内環境を良好にして、腸を若返らせる「快腸生活」の秘訣をご紹介します。

3つのステップで「腸能力」を鍛えましょう

食物繊維と乳酸菌、ビフィズス菌が決め手

腸内環境を改善するには、規則的な快便の毎日を送ることが不可欠です。それには便の「作る」「育てる」「出す」という3つのステップを十二分に機能させつつ、腸能力をアップさせていくことがポイントです。
よい大便を作り、育てるための秘訣は、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや食物繊維たっぷりの食事を日常的に摂ること。そして運動を取り入れて、りっぱな大便をしっかり押し出す力をつけること。よい大便は、自分自身の暮らし方を振り返り、あらゆることを考えてセルフコントロールしながら、自分でデザインするものなのです。

3ステップの図

腸腰筋ちょうようきんを鍛える運動をしましょう

運動方法の図腸を刺激して大便を送り出す蠕動ぜんどう運動は私たちの意志にかかわらず勝手に起きますが、おなかから押し出す最後のひとふんばりには、腹筋や体の深部にある腸腰筋の機能が求められます。
運動不足で腸の周りの筋肉が衰えている人が増えています。筋力が弱くて出す力が不足していることも便秘の一因に。次にご紹介する方法や、ウォーキング、屈伸運動、もも上げ運動、ストレッチなどで腸腰筋(大腸と骨盤の間の筋肉)を鍛えましょう。

辨野先生の「快腸生活」を紹介

辨野先生の「快腸生活」を紹介

辨野義己(べんのよしみ)先生

監修
辨野義己べんのよしみ先生
1948 年生まれ。独立行政法人理化学研究所イノベーション推進センター特別招聘研究員。酪農学園大学獣医学科卒。農学博士。専門は腸内環境学、微生物分類学。40 年以上にわたり、腸内細菌研究を続けている。

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