山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
人の免疫機構には、2つの種類があります。一つは生まれながらに備わっている「自然免疫」、そしてもう一つは、生まれた後、病原体などに触れることで、後天的にできる「獲得免疫」です。
獲得免疫は自然免疫では対処しきれない血液中の毒素や小さな病原体などに対して、攻撃の司令塔となる細胞から命令を受け、攻撃を開始します。自然免疫は、人の体にとって危険なものをよく知っていて、危険なものに遭遇すると、その場ですぐに認識・攻撃することができます。
この「自然免疫」において、重要な役割を担うと考えられているのが「NK(ナチュラル・キラー)細胞」です。NK細胞は常に体内をパトロールしながら、ウイルス感染細胞やがん細胞など、異常な細胞を見つけてはすぐに攻撃し、私たちの体を守ってくれています。
NK細胞は血液中に存在するリンパ球の10~30%を占めます。人によって免疫力が違うのは、NK細胞の活性化の違いによるところが大きいのです。つまり、NK細胞を活性化することができれば、免疫力が高まることになります。
NK細胞の活性は、加齢やストレスによって低下しやすくなります。ですから、ストレスをためないことはもちろんですが、笑ったり、森林浴をしたりすることで、活性が高まります。
次に紹介する研究レポート【2】は、蜂の子がNK細胞にどう作用するかを調べたものです。
自ら異常細胞を見分け、攻撃する能力をもつNK細胞。この細胞が活性化することは、免疫力をアップさせ、ウイルスに強い体づくりのための重要なポイントです。NK細胞の活性化と「蜂の子」について、興味深い研究成果が発表されました。
研究の対象者は男女12人で、平均年齢は67.5歳。そのうち10人は、普段から「疲れやすい」という自覚症状がありました。彼らのNK細胞の活性値を測定したところ、平均が14.2という数値でした。NK細胞の活性基準値は、対象者の年齢や検査条件により大きく変動しますが、この研究では、下限値17.1を用いています(※)。
蜂の子の粉末が250㎎入ったカプセルを各人に1日2粒ずつ、2週間続けて飲用してもらい、飲用が終わった時点でNK細胞の活性値を再度測定し、飲用前と比較しました。
結果は下のグラフで示されているように、飲用前は基準下限値以下の平均値が、飲用後、基準下限値を上回る24.1にまで高まっていました。この結果から、蜂の子はNK細胞の活性化に役立つことがわかり、免疫力アップに効果が期待できることが証明されました。
試験後に研究対象者からは「疲れにくくなった」「風邪をひきにくくなった」という声も聞かれました。普段から風邪や病気にかかりやすく、体力に自信のない人に、この結果は朗報だといえるでしょう。