山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

「健やかに」発刊録

花粉荷(かふんか)とは?

タンパク質やアミノ酸を含むローヤルゼリーの原料

xxxミツバチが体についた花粉を集め、巣に持ち帰ったものが花粉荷です。タンパク質やアミノ酸が豊富で、食物繊維、ビタミン、ミネラルなども含んだ“完全栄養食品”として知られています。ヨーロッパでは『健康の使者』と呼ばれ、伝統的に食されてきました。
ミツバチにとっては、はちみつとともに食糧のひとつ。また、女王蜂の食糧であるローヤルゼリーの原料でもあり、ミツバチが生きていくために欠かせないものです。花粉荷は由来となる花の種類によって含まれる成分が異なることが予想され、成分と生理作用の関係に対する研究が進められています。


抗酸化作用が高い成分は美肌に効果がある可能性

抗酸化作用、美白作用などの報告も

伝承的に健康によいとされてきた花粉荷ですが、最近の研究では、抗酸化作用、骨粗しょう症予防作用、免疫増強作用などの生理作用がある可能性が報告されています。
また、花粉荷を原料とするローヤルゼリーの研究では、更年期女性における不定愁訴の改善や美白作用など多くの報告があり、花粉荷の健康や美容への有用性がさらに注目されています。下記に最新の研究報告を紹介します。

研究レポート【3】抗酸化作用が高い花粉荷ほどメラニン産生を抑制

各国の花粉荷すべてに抗酸化作用が

これまでの花粉荷研究では、使用される花粉荷のもとになる植物や産地はさまざまでした。そこで、起源となる植物と産地が特定できる花粉荷を使って、抗酸化作用とその作用成分を調べました。下のグラフにある10種類の植物は、ナタネ【1】、ナタネ【2】、ソバ、ソバミックスが中国産、ジャラ、マリ、ミックスがオーストラリア産、シスタス、ムラサキ科がスペイン産、チャが台湾産です。
これらの抗酸化作用を測定したところ、すべての花粉荷において抗酸化作用が認められ、特にオーストラリア産のジャラ、マリ、ミックスが強い抗酸化作用を示しました。

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メラニン産生抑制作用は抗酸化作用に比例する傾向

同様に、同じ10種類の花粉荷におけるメラニン産生抑制作用を測定しました。その結果、数種類の花粉荷に抑制作用が認められ、特に、強い抗酸化作用を示したジャラ、マリ、ミックスの花粉荷は、メラニン産生の抑制作用も強いことがわかりました。
また、抗酸化作用、メラニン産生抑制作用の両方において高い活性が認められたジャラの成分を精製し、メラニン産生抑制作用を測定したところ、ルテオリンとメアルンセチンという成分が強い抑制作用を持つことが明らかになりました。
以上のような研究結果から、花粉荷には抗酸化作用とメラニン産生抑制作用があり、抗酸化作用が強い花粉荷ほど、メラニン産生を抑える力が強い傾向があることがわかりました。メラニンはシミやソバカスの原因となる物質として知られており、花粉荷の美白素材としての可能性が見いだされる結果となったことで、さらなる研究に期待が寄せられます。


食生活の欧米化によって前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)になる人が増加

前立腺が肥大し排尿障害が起こる病気

男性だけに存在する臓器「前立腺」は、膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあって、尿道をぐるりと取り囲んでいます。正常な大きさは栗の実ぐらいで20g前後ですが、これが肥大していき、排尿障害が起こるのが前立腺肥大症です。
前立腺肥大症はステージ(病期)によって、症状が変化していきます。膀胱刺激症状期といわれる最初のころは、肥大した前立腺が尿道や膀胱を圧迫し、刺激するために、トイレが近くなったり、トイレに行った後もすぐにまた行きたくなるといったことが起こります。夜間に何度もトイレに起きるといった症状も現れます。
これが次の残尿発生期になると、トイレに行っても尿がなかなか出なかったり、尿が完全に出切らなくなったりして、残尿感があります。尿道が左右から圧迫され、細くなるために生じる症状です。さらに症状が進むと、尿がまったく出なくなります。こういった症状が起こるために、生活の質に大きな影響を及ぼしますが、すぐに生命にかかわる病気ではないために、病状が進むまで我慢する人が多いようです。

年齢とともに増え、80歳までに80%が発症

昭和30年代にはほとんどの日本人男性が前立腺は萎縮(いしゅく)の経過をたどっていましたが、今では食生活の欧米化によって、肥大症になる人が増加しています。
前立腺肥大症は年齢と深い関係があり、高齢の男性に多くみられます。加齢と男性ホルモンが関係しているといわれていますが、その原因は十分には解明されていません。40~50代で症状が出始めて、60歳を過ぎるころには半数以上の人が夜間頻尿と放尿の勢いの低下を自覚し、65歳前後で治療を開始する人が多くなるといわれています。80歳までには80%の人が前立腺肥大症になるとみられていて、程度の差はあっても、高齢の男性ほぼ全員が発症するため、男性の更年期症状や老化現象の一種という見方もされています。排泄にかかわる問題だけに、予防法が模索され、研究が続いています。

研究レポート【4】花粉荷の前立腺肥大症予防への作用を検証

花粉荷エキスを摂取し最大尿流量と残尿量を比較

花粉荷の前立腺肥大症に対する有用性を科学的に検証するため、前立腺肥大症の患者47人を対象に、プラセボ(※1)を使った二重盲検法(※2)により比較試験を行いました。
47人を無作為に3つのグループに分けて、1つ目のグループは、シスタス花粉荷エキス320㎎を含む錠剤を毎日摂取してもらうグループ。2つ目はエキス160㎎を含む低用量錠剤を毎日摂取してもらうグループ、3つ目はプラセボ錠剤を毎日摂取してもらうグループとし、それぞれ試験を実施する前と、摂取12週間後に、症状の重症度の指標となる最大尿流量(尿の勢い)と残尿量を測定しました。その変化を比較したのが下のグラフです。

高用量の花粉荷に症状軽減の可能性

花粉荷飲用前後の尿の勢い変化1つ目の指標である最大尿流量に関しては、高用量の320㎎を継続して摂取してもらったグループは、摂取前は8.7ml/秒であったのが、摂取後は正常値に近い13.3ml/秒に増加し、尿の勢いが増したことがわかりました。低用量グループとプラセボグループでは増加はみられませんでした。

摂取前後の残尿量変化2つ目の指標、残尿量に関しては、摂取前と比較して、プラセボグループと低用量グループで増加が認められ、高用量グループでのみ、減少傾向がみられました。

以上の結果から、プラセボグループと低用量グループの有意差は認められなかったものの、高用量グループにおいては改善傾向が認められました。このことから、花粉荷エキスの前立腺肥大症に対する作用は穏やかであることがうかがえます。花粉荷を続けて摂取することで、初期の前立腺肥大症の人への穏やかな症状軽減、または予防に有用であるという可能性が示唆されました。

※1 プラセボ この試験の場合、見た目には花粉荷エキス錠とまったく変わりないが、花粉荷を含んでいない錠剤のこと。※2 二重盲検法被験者が「有効成分が入っている」と信じ込むことによる影響(プラセボ効果)や、試験者が無意識のうちに一方を高く評価することを防ぐための方法。この試験では、飲用する人(被験者)も、診察や測定、解析をする人(試験者)も、それが花粉荷エキス錠なのかプラセボなのかがわからない方法で行った。

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