山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

「健やかに」発刊録

プロポリスはミツバチの防御力

プロポリスは、ミツバチがさまざまな植物の樹脂や新芽からつくりだすものです。花粉やミツバチの分泌物である唾液(だえき)、蜜ろうなども含まれています。
樹脂には本来、植物の新芽を保護したり、傷んだ幹を再生する作用があります。ミツバチは本能的にその力を利用し、巣の出入り口や巣穴の壁などに塗りつけて、自分たちが外からさまざまな菌を巣の中に持ちこまないように防いで、巣を清潔に保っているのです。 プロポリスの語源は、ラテン語のpro(前、正面)とギリシャ語のpolis(都市)に由来し、「都市の入り口を守り、敵の侵入を防ぐ城壁」という意味を表しています。

プロポリスはミツバチを守る城壁

プロポリスはミツバチを守る城壁プロポリスの語源は「敵の侵入を防ぐ城壁」ですが、実際にプロポリスがミツバチを守っていることが証明されています。次のような実験が行われました。

●実験内容
巣箱Aにはブラジル産プロポリスを含むエタノール、巣箱Bにはプロポリスを含まないエタノールを塗る。ミツバチを生活させた後、ミツバチが感染などから身を守るために作る抗菌ペプチドと、ミツバチに害を及ぼす特有の菌の量を比較。

グラフ1●結果
プロポリスを塗らなかった巣箱Bでは抗菌ペプチドが大量に作られ、プロポリスを塗った巣箱Aではほとんど作られていなかった(グラフ1)

グラフ2また、害を及ぼす菌の数も巣箱Aは巣箱Bより少ないことがわかった(グラフ2)。

以上の結果から、プロポリスには巣箱を清潔に保ち、ミツバチの生命を守る力があることが証明されたのです。

気になる症状とプロポリス研究

風邪 風邪の治りを早めQOL(生活の質)の向上に

プロポリスは、昔から健康によいとされ、人々に利用されています。しかし、その有用性を科学的に検証するようになったのは近年になってからのことです。特に、ヒトに対する臨床試験はこれまでほとんど行われていませんでした。ここでご紹介するのは、59名の被験者のデータをとり、プロポリスのヒトに対する作用を調べた貴重な試験の結果です。試験は次のように行われました。
20~70歳の男女59名を2つのグループに分け、一方のグループにはプロポリスエキスを含むカプセルを、もう一方のグループにはプロポリスを含まないプラセボ(※)を、60日間飲用してもらいました。
その間、毎日日誌をつけてもらい、風邪の自覚症状の有無と、自覚症状がある場合は症状の程度を記入してもらいました。
その結果、風邪が治るまでの日数は、プロポリス飲用グループはプラセボ飲用グループよりも平均1~3日短くなりました(グラフ参照)。

グラフ

また、「体のだるさ」の自覚症状も、プロポリス飲用グループのほうが軽くなることが確認されました。

※プラセボは、思い込みによる作用をなくすために用いられる偽薬や試験食。ここで紹介している研究では見た目はプロポリスが入ったものと変わらないが、プロポリスを含んでいない、対照となる試験品のこと。

インフルエンザ プロポリスがウイルスから細胞を守る可能性

新型インフルエンザの危険性にも注目

インフルエンザには、冬季に流行する季節性インフルエンザのほか、世界的に流行して問題となっている新型インフルエンザがあります。
新型インフルエンザは、季節性インフルエンザが少ない夏季に感染者が増加することや、肺での増殖力が高く、重症の肺炎を起こす可能性があることが指摘されています。
そこで、季節性と新型の両方のインフルエンザウイルスに対して、プロポリスがどう作用するかを調べる試験を実施しました。

プロポリスを加えた細胞は生き残った

試験には、(1)ブラジル産プロポリスの水抽出エキス、(2)プロポリス含有液を使用しました。プロポリス含有液は、プロポリスを主成分とし、そのほかにマヌカ蜂蜜(※)や緑茶エキスなどを含んでいます。
培養細胞に季節性インフルエンザウイルス、または新型インフルエンザウイルスを添加し、同時にさまざまな濃度で(1)または(2)を加え、3日後に生き残っている培養細胞の数を調べました。

結果は、下のグラフのとおり、(1)も(2)も加えなかった場合、季節性と新型のどちらのインフルエンザウイルスを添加した細胞も、3日後にほとんど死滅しました。一方、(1)0.04%以上、または(2)0.6%以上加えた場合、細胞の死滅は抑えられていました(グラフ(1)(2))。
このことから、ブラジル産プロポリスが抗インフルエンザ作用を持つ可能性があることが示されました。

※マヌカ蜂蜜はニュージーランドの原生植物マヌカから採取した蜂蜜。抗菌力が高いことが知られている。

スギ花粉症 スギ花粉症の発症を遅らせ鼻づまりの発症率も低下

今や国民病ともいわれる花粉症ですが、近年、花粉症を軽減する食品があることがわかってきました。この試験では、プロポリスの飲用によってスギ花粉症が軽減されるかを検証しました。
軽度のスギ花粉症の患者80名を4グループに分け、プロポリスを低・中・高用量含む錠剤と、含まないプラセボをスギ花粉の飛散前から12週間、毎日飲用してもらいました。その結果、中用量と高用量のプロポリスを飲用したグループで、花粉症の発症が遅くなりました。また、高用量飲用したグループでは、鼻づまりの発症率が低下しました。

研究結果

歯周病 プロポリスを使った洗浄で口の中の細菌が減少

歯周病は、歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」で細菌が増殖することから始まり、歯ぐきに炎症が起こり、炎症が広がると歯が抜けてしまう病気です。歯は、全身の健康や脳の老化防止のためにも大切なもの。プロポリスを歯周病予防に役立てることができるか、試験が行われました。

慢性歯周炎の患者20名を(1)超音波洗浄のみ、(2)エタノール溶液での超音波洗浄、(3)濃度20%のプロポリスエキスでの超音波洗浄の3グループに分けて、8週間それぞれの洗浄法を実施してもらいました。

その結果、(3)のプロポリスエキスで洗浄したグループは、歯周ポケット内の細菌数が減っていました。プロポリスは口の中を清潔に保ち、歯周病を予防する可能性が示されました。

研究結果

酸化ストレス 酸化によるダメージから体を守り、健康維持へ

鉄が茶色くさびるのと同じように、体内で過剰に発生した活性酸素は、細胞などを酸化させ、傷つけてしまいます。健康維持のためには、酸化ストレスを減らし、ダメージを軽減することが重要です。
激しい運動で発生する酸化ストレスを、プロポリスを飲用することで緩和できるかどうか、酸化ストレスを受けやすい血中アルブミンの酸化状態を調べました。その結果、下のグラフのとおり、5日間継続してプロポリスを含む錠剤を飲用したグループは、プラセボを飲用したグループに比べ、酸化ストレスが緩和されていることがわかりました。

研究結果

皮膚疾患 プロポリスの塗布が皮膚のかゆみや赤みに働く

14日目に改善皮膚疾患を持つコンゴ人523名を対象に試験が行われました。皮膚疾患の種類は、真菌による皮膚病、アレルギー性の皮膚疾患、やけどなどです。

523人を無作為に分け、患部に(1)ブラジル産プロポリス、(2)アカシア蜂蜜、(3)市販薬、(4)ワセリン(比較のため)のいずれかを毎日塗り、塗布前と、塗布開始14日目・21日目・28日目にかゆみ・赤み・皮膚のはがれなどの経過を調べました。

その結果、(1)ブラジル産プロポリスを塗布した人と、(2)アカシア蜂蜜を塗布した人は、14日目に白癬菌(はくせんきん(真菌の一種で水虫の原因菌)による皮膚炎のかゆみ、赤み、皮膚のはがれが改善しました。

また、(1)(2)(3)のいずれかを塗布した人は、21日目にアレルギー性皮膚疾患によるかゆみ・赤み・かさぶたなどの症状が改善しました。

神経線維(しんけいせんい)の形成 ブラジル産プロポリスの神経突起を形成する作用を確認

認知症など、神経細胞が壊れた病気の改善に

認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が徐々に死滅して進行します。また、脳血管性認知症は、脳卒中などによって脳の神経細胞が障害を受け、発症します。認知症以外にも、交通事故などによって神経細胞が傷つくと、機能しなくなり、脳障害を引き起こすことがあります。このような壊れて機能しなくなった神経ネットワークを、「新たに神経細胞特有の線維(神経突起)をつくり出すこと(神経再生)によって改善できないか」という研究が行われています。

プロポリスと、主成分のアルテピリンCが作用

このテーマについて、吉備国際大学の加納良男教授と山田養蜂場は共同研究を行い、ブラジル産プロポリスとその主成分であるアルテピリンCが神経を活性化し、神経突起をつくり出すことを見出しました。
試験方法は、培養神経細胞(※)の培養液にブラジル産プロポリスエキス、またはアルテピリンCを添加して7日間培養し、神経突起の本数を試験開始前の本数と比較。細胞1個あたり神経突起をどれだけ効果的に形成させる作用があるかを検討しました。その結果、下のグラフのとおり、ブラジル産プロポリスとアルテピリンCに培養神経細胞の神経突起を形成する作用があることがわかりました。
このことから、プロポリスとアルテピリンCは、神経疾患である認知症などの治療に役立つ可能性が見出されました。

※この研究ではPC12m3細胞という培養神経細胞を使用しました。PC12m3細胞は神経突起を形成しにくい性質を持っていますが、それにもかかわらず今回の試験で神経突起が形成されたことが注目されています。

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