山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った初の臨床研究が始まった「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」。網膜の中心にある黄斑という部分に、加齢による異常が起こり、ものがゆがんで見えたり、中心が欠けたりぼやけて見えたりし、失明の危険もある難病です。この加齢黄斑変性を予防する効果があるとして、注目を集めているのが「ルテイン」という栄養素です。
ルテインとは、そもそも自然界に存在している黄色や橙色、紅色などの色素成分である「カロテノイド」の一種です。カロテノイドの種類は約600もあるとされ、トマトのリコピンやサケのアスタキサンチンも含まれます。カロテノイドは、植物が紫外線から身を守るフィルターとして働き、強力な抗酸化作用があることで知られています。
では、なぜルテインが加齢黄斑変性の予防に役立つと考えられているのでしょうか。
実はルテインは、目の黄斑部や水晶体にもともと多く存在し、目から入ってくる紫外線に対して抗酸化作用で眼球組織を守り、正常に機能するために貢献しているのです。目のほかにも、皮膚、乳房、大腸などに存在し、それぞれの場所で抗酸化力を発揮しています。ただし、加齢とともに減少していきます。
そのほかのルテインの働きとして、乳がんの発症低減、皮膚の水分量や脂質量の増加、皮膚の過酸化脂質量の低下などの美肌作用、糖尿病の保護因子になることが報告されていますが、まだ研究段階です。また、サプリメントで同等の効果があるかどうかは現在、研究中です。
ルテインを多く含む食材は、ほうれん草、からし菜、キャベツ、とうもろこしなどです。脂質と一緒に摂ると効果が上がるといわれているので、炒めたり、揚げたりなどの調理が好ましいでしょう。
目の健康維持に役立つ「ルテイン」ですが、もちろんサプリメントだけに頼っていてはいけません。定期的に検査し、気になる症状があれば早めに医師の診察を受けましょう。また記載された用法・用量を守ることも大切です。