メリンジョエキスの血中尿酸値低下作用

メリンジョ由来レスベラトロールの有用性を世界で初めてヒト試験で確認!

国民の約500万人が尿酸値の高い無症候性尿酸血症

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2010年に「痛風で通院中」と回答した人は全国で95万7000人であり、1986年の25万4000人から25年間で4倍近く増加しています※1。さらに、自覚症状がなく痛風でないものの尿酸値が高い「無症候性高尿酸血症」は国民の25人に1人の割合にあたる約500万人と推定されています。

高尿酸値は様々な生活習慣病に関わる

尿酸値を高くする要因は二つに分けられ、遺伝的な要因と環境による要因があります。特に環境要因では、野菜の摂取不足や運動不足、ストレスなどが高尿酸値に関係すると知られています。高尿酸血症のリスクとして最も有名なのが“痛風”です。コーヒーの摂取量が多い集団や適度な運動をしている集団では、痛風になりにくいとの報告があり※2,3、生活習慣と血中尿酸値は深い関わりがあります。野菜を多めに摂取する、運動を心掛ける等、生活習慣を変えることが尿酸値の低下に繋がります。
また、高尿酸血症のリスクは痛風だけでなく、様々な生活習慣病に関与していることが近年の研究で明らかになっています。例えば、血清尿酸値が上昇するにつれてメタボリックシンドロームの頻度が高くなり※4-9、逆に、メタボリックシンドロームの構成要素(BMIが高く、HDLコレステロール値が低いなど)が増加するにつれて血清尿酸値も上昇するという報告があります※10, 11。また、腎障害※12, 13の危険因子であったり、脳卒中、心不全※14の発症や再発に関与するとの報告もあり、血清尿酸値を低下させることは、これらの重大な疾患の予防に繋がると考えられます。

メリンジョエキスは尿酸値を低下させる

メリンジョ由来レスベラトロールはこれまでに肥満予防や血管老化抑制、抗酸化、抗炎症など生活習慣病に関わる多様な作用を持つ可能性が報告されてきましたが、いずれも試験管内試験や動物試験によって示唆されたものであり、ヒト試験では証明されていませんでした。そこで、順天堂大学大学院の今野裕之氏、白澤卓二氏らの研究グループはメリンジョエキスの健康効果を科学的な信頼性の高いプラセボ対照無作為化二重盲検試験にて調べました※15
健康な成人男性29名を2グループに分け、一方にメリンジョエキス750mgを含むカプセルを、もう一方にプラセボカプセルを1日1回摂取してもらいました。摂取開始から4週間および8週間後に被験者の血液検査と尿検査を行いました。
その結果、メリンジョ摂取群ではプラセボ摂取群よりも血中尿酸値が有意に低くなることが明らかとなりました(図1)。また、メリンジョ摂取群では、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロール値が有意に増加しました(図2)。

図1:メリンジョエキスは血中尿酸値を低下させる

図2:メリンジョエキスは善玉コレステロールを増加させる

この試験の結果から、メリンジョエキスの継続的な摂取により尿酸値の有意な低下やHDLコレステロールの有意な増加をもたらしたことから、メタボリックシンドロームの予防に繋がる可能性が示唆されました。

メリンジョエキスの作用メカニズムの考察

さらに、メリンジョエキスの健康効果がどのように得られるのか作用メカニズムについて調べました。メリンジョエキスおよびメリンジョ由来レスベラトロール(グネチンC、トランス-レスベラトロール)の働きを試験管内試験にて検討したところ、メリンジョエキスとグネチンCが、尿酸の産生に関わるキサンチンオキシダーゼを阻害しなかったことから、尿酸の産生阻害ではなく、排泄に関与し、尿酸値が低下したと考えられます。また、メリンジョエキスとトランス-レスベラトロールは脂質代謝に関わるPPARαおよびγを活性化させたことから、これらの機構を介して、HDLコレステロール値の上昇を促すと考えられます。

以上の結果から、健康なうちからメリンジョエキスを日常的に摂取することで痛風の発症予防や脂質異常症を予防できる可能性があることが示唆されました。血清尿酸の高値は腎障害や糖尿病、循環器疾患の危険性が高まるため、メリンジョエキスの摂取はこれらの重大な疾患の予防に繋がると考えられ、健康維持に役立つことが期待されます。

メリンジョエキスの有効性についてのヒト試験を世界で初めて実施しました。メリンジョエキスの長期間摂取の結果、尿酸値の低下やHDLコレステロールを増加させ、生活習慣が起因となる重大な疾患の予防に繋がる可能性が示唆されました。生活習慣を改善することはもちろんですが、メリンジョエキスを生活習慣に加えることで、病気になりにくい身体づくりに貢献できるでしょう。

参考文献
※1
厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査
※2
Choi HK ら, Arthritis Rheum 56, 2049 (2007)
※3
Williams PT ら, Am. J. Clin. Nutr., 87, 1480 (2008)
※4
Ishizaka Nら, Arterioscler Thromb Vasc Biol, 25(5), 1038 (2005)
※5
Numata Tら, Diabetes Res. Clin. Pract., 80(1), e1 (2008)
※6
Sui Xら, Metabolism, 57(6), 845 (2008)
※7
Onat Aら, Am. J. Hypertens., 19(10), 1055 (2006)
※8
Lohsoonthorn Vら, Arch. Med. Res., 37(7), 883 (2006)
※9
Choi HKら, Am. J. Med., 120( 5), 442 (2007)
※10
Rho YHら, J. Korean Med. Sci., 20(6), 1029 (2005)
※11
Hjortnaes Jら, J. Rheumatol, 34(9), 1882 (2007)
※12
Iseki K, Hypertension Res., 24, 691 (2001)
※13
Chonchol M, Am. J. Kidney Dis., 50, 239 (2007)
※14
Bos MJら, Stroke, 37, 1503 (2006)
※15
Konno Hら, Evid. Based Complement Alternat. Med., 2013 (2013)

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