山田養蜂場運営の研究拠点「山田養蜂場 健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。
ポリフェノールの一種である「レスベラトロール」については、これまでも、多くの研究が行われてきました。その強い抗酸化作用や、生活習慣病予防への機能、血液の流れをスムーズにする機能などが明らかにされています。
当研究所では、レスベラトロールが2つくっついたレスベラトロール二量体である「グネチンC」を豊富に含む、インドネシアの果実樹「メリンジョ」由来のレスベラトロールについて、その優れた有用性を確認するため、研究を続けています。
ここでは、信頼性のある科学的な手法で行われた最近の研究成果を、ダイジェスト版でお伝えします。より詳しいデータや論文をご覧になりたい方は、研究者の皆さま向けページをご覧ください。
全身の血管は1つの臓器といわれるほど身体にとって重要な役割を担っています。血管の老化は私たちの目には見えませんが、心拍とともにしなやかに収縮する柔軟性が低下し、血のめぐりが悪くなったり、血栓の形成につながります。血管が老化し硬くなっても、それ自体に自覚症状はないので、放っておくと、動脈硬化から、脳梗塞や心筋梗塞といった命を脅かす病気へと進んでしまうことになるのです。
当研究所では、より優れたチカラをもつ自然の恵みを求めて研究を進める中で、インドネシア原産のメリンジョ由来のレスベラトロールに注目しました。そして、この「静かで見えない老化」に対し、「メリンジョ」由来のレスベラトロールがどんな影響を与えるかを、調べるため、試験を行いました。
糖尿病にかかると、四肢や網膜、腎臓などさまざまな部位の血管が侵されて、動脈硬化や四肢の壊疽、神経障害、腎障害など、体中のあらゆる部位に障害が併発します。つまり、血管の老化から、全身に問題が波及していくわけです。
そこで、当研究所では、糖尿病モデルに対してメリンジョレスベラトロールを与えることで、“血管内皮で、長寿遺伝子の1つであるSIRT1の発現が上昇するか”、また、“血管の老化が抑制されるか”を調べました。
その結果、糖尿病モデルは、血管内皮細胞でSIRT1の発現量が減少し、それに伴い血管老化も進行していましたが、メリンジョレスベラトロールによって、「血管内のSIRT1発現量の減少レベルが抑えられ」「血管の老化が抑制される」ことが確認されたのです。
(Planta Med. 2011 Jul;77(10):1027-34. )
美肌の大敵であるシミやそばかす。日焼けに気をつけていてもできてしまう…とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
このシミ・そばかすの原因が黒色の色素「メラニン」。過剰にメラニンが産生されたために、色素沈着を起こしたものがシミ・そばかすとなります。そのメラニンが体内で作られる際に働くのが、「チロシナーゼ」という酵素です。チロシナーゼが働かなければ、メラニンは作られません。「シミ・そばかすを制するには、チロシナーゼを制するべし」。美容業界ではこれまでさまざまな方法でチロシナーゼの活性阻害が試みられてきました。
一方、一般的に「レスベラトロール」として知られている、ブドウ由来のトランスレスベラトロールについては、既にメラニン産生を抑える作用があると報告されています。
当研究所では、より優れたチカラをもつ自然の恵みを求める中で、インドネシア原産のメリンジョ由来のレスベラトロールに注目し、研究開発を続けています。その特有成分であるレスベラトロール二量体の「グネチンC」は、ブドウには含まれない成分です。
そこで、このグネチンCと、トランスレスベラトロール、美白作用が知られているコウジ酸のチロシナーゼ阻害作用を比較しました。
メラニン合成に必要な酵素であるチロシナーゼとグネチンC、トランスレスベラトロール、コウジ酸をそれぞれ試験管内で混合し、チロシナーゼの活性がどの程度抑えられるかを調べました。下のグラフのIC50値は、チロシナーゼの活性を50%阻害するのに必要な濃度であり、値が低いほど作用が強いことを示しています。
この結果から、グネチンCはトランスレスベラトロールやコウジ酸よりも強いチロシナーゼ阻害効果を持つことがわかりました。
(Biol Pharm Bull. 2012;35(6):993-6.)