“王の”“王家の”という高貴な形容詞を冠するローヤルゼリー。ここでは、その神秘的な力について、科学的な根拠を基に説明します。
“ローヤルゼリーとは蜂蜜の加工品”、“蜂蜜の中でも最も高級なものがローヤルゼリー”もしくは“ローヤルゼリーは蜂蜜の成分”などと誤解をされることがありますが、蜂蜜は、働き蜂が花蜜を餌として巣に蓄え熟成させた甘味料であり、ローヤルゼリーは、働き蜂が花粉を材料として体内で合成し分泌したものです。見た目はとろりとした乳白色の物質で、酸味が強く、蜂蜜とはまったく異なります。
ローヤルゼリーは、ミツバチの社会“コロニー”を維持するために必要不可欠な食べ物です。実は、卵の段階では、働き蜂も女王蜂も同じメスであり、全く違いがありません。ところが、孵化してから3日目まで、ローヤルゼリーより栄養価の低いワーカーゼリーを食べ、4日目以降、蜂蜜と花粉を食べるメス蜂は働き蜂となります。一方、女王蜂となるメス蜂は孵化してから生涯に亘りローヤルゼリーを食べ続けるのです。つまり、ローヤルゼリーは、女王蜂だけが食べ続けることを許される特別な食べ物なので、“ロイヤル”というわけです。このように、遺伝子的に全く同じ受精卵を働き蜂と女王蜂に分化させるのはまさにローヤルゼリーの神秘的な力といえるでしょう※1。
成虫となった女王蜂と働き蜂を比較すると、女王蜂は体の大きさが2~3倍、寿命が30~40倍にもなり、また、卵を産むことができない働き蜂に対して、女王蜂は毎日約1,500個もの卵を産み続けることができるなど、特徴や能力が大きく異なります。体型や能力は、生まれつき、つまり“遺伝子”によって決まっていると考えられてきましたが、生後の食べ物によってそれらが決まるというのは驚くべきことです。
ローヤルゼリーは、水分を約65 %、タンパク質・アミノ酸を約13 %、炭水化物を約15 %、脂質を約3 %、その他の成分を約4%含んでいることがわかっています(自社調べ)。
アミノ酸には、ヒトの体内では合成できないために、必ず食品から摂らなければならない必須アミノ酸が含まれています※2。アミノ酸スコア(タンパク質の品質を示すスコアで、必須アミノ酸の含有バランスを示すもの)は、良質なタンパク質を含む鶏卵では100です。ローヤルゼリーもアミノ酸スコアが極めて高く、とても良質なタンパク質を含有しています。
また、”その他の成分”にも、ビタミン類、ミネラル類など体が作り出すことができない成分が含まれており、このことから、ローヤルゼリーは、3大栄養素であるタンパク質・炭水化物・脂質をはじめ、さまざまな栄養素を含む、栄養価の高い食品であることがわかります。
ローヤルゼリー特有の物質として、10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸など、いくつかの成分が知られています※2。これらがヒトに対してどのような働きをするのかは、いまだ不明な点が多いのですが、私たちの役に立つ何らかの働きを持つと期待され、研究が進められています。今後も、ローヤルゼリーの神秘的な力を担う、さまざまな有効成分が発見されていくことでしょう。
ローヤルゼリーの成分や効能が次第に明らかになる一方、ごく稀にではありますが、喘息および食物アレルギーをもつ持つ人において、ローヤルゼリーよって、喘息や、重いアレルギー症状が引き起こされた例も報告されています※3, 4。先に述べたように、ローヤルゼリーには、卵や乳製品などと同じようにタンパク質が高い割合で含まれており、このタンパク質の一部がアレルギー症状の原因となっていることがわかってきました。
これらを受け、現在では、ローヤルゼリーを含む健康食品には、喘息や食物アレルギーを持たれる方への飲用を控える表示が徹底されるようになってきています。そして、もう一方で、これらの体質の方にとってもアレルギーを引き起こしにくい安全な健康食品を目指し、酵素分解ローヤルゼリーが開発されました。
ローヤルゼリーの効能についてこれまでにさまざまな報告がなされていますが、個人の体験にとどまるものや、信頼性の低い試験方法を用いた研究報告が含まれており、玉石混交な情報が溢れています。
ローヤルゼリーは健康食品としてだけでなく、基礎化粧品やヘアケア製品などの美容の分野でも積極的に活用されるようになってきました。今後も研究の発展にともなって、さらに活用の範囲が広がっていくことでしょう。ローヤルゼリーを正しく理解した上で、生活習慣を正しつつ、上手に生活に取り入れることが大切です。