プロポリスの抗酸化作用

ミツバチが、自らの巣を守るために利用している
防御壁“プロポリス”。
ここでは、その様々な機能について、
科学的な根拠を基に説明します。

ローヤルゼリーの食事

ブラジル産プロポリスに運動時のストレスを軽くする効果があることをヒトで確認!

私たちの体と抗酸化作用

私たちは空気中の酸素を取り入れてエネルギーを作っています。しかし取り込んだ酸素は、すべてがエネルギーの産生に使われるのではなく、一部は活性酸素となり、体の中の異物(病原体)や毒物を排除するなど、様々な生理活性因子として作用することが知られています。
このように、活性酸素は体にとってなくてはならないものですが、体内で作られすぎた場合には諸刃の剣となります。活性酸素の持つ酸化力はとても強力で、病原体や毒物に限らず作用を及ぼすため、過剰な活性酸素は体の細胞までも酸化してしまうのです。

酸化とは体が錆びていくようなもので、例えば、血管が錆びる(酸化する)と血管が硬くなり、動脈硬化を引き起こす要因となります。その他にも、糖尿病や高脂血症、肝臓の機能低下、がんといった生活習慣病や、白髪、しわ、しみなどの老化の原因とも考えられています*1

すなわち、こうした病気の発症や老化の原因が酸化ストレスである以上、酸化ストレスを抑えることができれば、それらを予防したり遅らせることが期待できます。

私たちの体と抗酸化作用

そのため、近年、ビタミン類を含む野菜や果実、ポリフェノールを含む赤ワインや緑茶など、酸化を抑える働き(抗酸化作用)を持つ食品※1や化粧品への期待が高まっています。そんな中、岐阜大学教育学部の今井一博士らの研究グループにより、ブラジル産プロポリスがヒトにおいて抗酸化作用を示すことが確認されました*2

抗酸化作用をヒトで確認する方法とは

今井博士らの研究グループは、ブラジル産プロポリスに抗酸化作用があることを確かめるために、まず、体内の酸化の度合を定量的に測定する方法を検討し、血清アルブミンに着目しました。
血清アルブミンとは、酸化ストレスから体を守る血液中のタンパク質で、自らが酸化されることで体の酸化を抑えています。酸化されたアルブミンは酸化型アルブミンと呼ばれ、一方、酸化されていないアルブミンを還元型アルブミンといいます。
日常生活では、生じた活性酸素は体内で作られる抗酸化作用を持った酵素により解消されるため、酸化型アルブミンが増えることはありません。しかし、非常に負荷の大きい、激しい運動をすると内臓の血流量が減少して、送られる酸素が減るため、酸欠状態を回復しようと取り入れる酸素が増加し、発生する活性酸素も増加します*3

活性酸素が増えすぎて、抗酸化作用をもった酵素だけでは対応しきれなくなると、体の酸化を抑えるため還元型アルブミンが動員され、酸化型アルブミンに変化するのです。つまり、血液中のアルブミンのうち、酸化型アルブミンの割合が高ければ、それだけ強い酸化ストレスに曝されており、逆に低ければ酸化ストレスを抑えられていることを示す証拠になるわけです。
今井博士らの研究グループは、このアルブミンの酸化還元反応を利用すれば、摂取する食品の抗酸化能をヒトの体で調べることができると考え、岐阜大学の剣道部の協力のもと、負荷の大きい運動をする合宿中にブラジル産プロポリスを摂取してもらい、酸化ストレスを緩和できるか確かめるための実験を行いました。

信頼性の高い評価方法を用いて

被験者として実験に参加してくれたのは11名(平均年齢20.1歳)で、剣道の経験が平均12.4年の上級者ばかりでした。このうち6名にプロポリスカプセルを、残りの5名には比較対照のためにプロポリスを含まないカプセル(プラセボカプセル)を摂取してもらいました。
プラセボカプセルは、「プロポリスを摂取しているから体に良い」という思い込みが実験結果に影響を及ぼすことがあるため、その影響を取り除くために用いられます。見た目はプロポリスカプセルと同じですが、プロポリスは含まれていません。

また、被験者はプロポリスカプセルとプラセボカプセルのどちらを摂取しているか知らされません。プロポリスを摂らない5名もプロポリスを摂る6名も、「試験食を摂取する」という同じ行動をとるため、両群の間のアルブミンの酸化度合の差はプロポリスの有無による差であると言えるのです。
また、今回の実験では、実験者の先入観が実験結果に影響しないように、誰がプロポリスを摂っているか、研究グループにも知らされない「二重盲検試験法」が採用されました。

厳しい稽古が始まると、ブラジル産プロポリスの効果があらわれた

酸化型アルブミンの割合(%)

試験では、4日間の合宿期間と、その後1日間の回復期間の計5日間、プロポリスカプセルもしくはプラセボカプセルを1日15球摂取させ、朝の練習前と昼の練習前の2回、合計10回の採血を行いました。

採取された血清アルブミンの分析を行ったところ、厳しい稽古を行うようになった2日目から、プロポリスカプセルを摂っていたグループのほうが、酸化型アルブミンの割合が有意に低くなりました(グラフ)。

合宿後の回復期間においても、プロポリスカプセルを摂ったグループの酸化型アルブミンの割合がプラセボカプセルのグループより高くなることはありませんでした。つまり、プラセボカプセルと比べて、プロポリスカプセルの方が酸化ストレスを緩和させることができたことを示しています。この実験結果より、ブラジル産プロポリスが、ヒトの過剰な運動負荷による酸化ストレスを緩和させる抗酸化作用を示すことがわかりました。

私たちの体は年とともに酸化ストレスが蓄積しやすくなると言われます。生活習慣病を予防し、老化を遅らせるためには、適度な運動やバランスのよい食事を心がけて活性酸素を過剰に発生させないことが大切です。その上でブラジル産プロポリスも取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献
※1
井上正康,「活性酸素と医食同源 分子論的背景と医食の接点を求めて」(共立出版株式会社)
※2
今井ら, Adv. Exerc. Sports Physiol., Vol.11, No.3, pp.109-113 (2005).
※3
井上正康,「活性酸素と運動 しなやかな健康と長寿を求めて」(共立出版株式会社)

ページトップ