“王の”“王家の”という高貴な形容詞を冠するローヤルゼリー。ここでは、その神秘的な力について、科学的な根拠を基に説明します。
高血圧症とは、動脈血管内で血液が血管壁を押す力が慢性的に高くなり、全身の血管や臓器に負荷をかけ、各々の機能を障害してしまう疾患です。心臓がポンプのように収縮して血液を全身に送り出したときに動脈血管に最も強い圧力がかかります。このときの血圧を収縮期血圧(最高血圧)といいます。一方、血液を送り出したあと心臓が拡張したときに最も圧力が低下します。このときの血圧を拡張期血圧(最低血圧)といいます。これらの血圧値は、日常の健康管理に広く用いられており、どちらか一方の値が高いと高血圧症とされます。
厚生労働省の発表によると、平成21年の日本人の死因の第1位は悪性新生物、いわゆるガンで、人口10万人に対する死亡率の割合は30.1 %、第2位は心疾患では15.8 %、第3位は脳血管疾患では10.7 %となっています※1。
このうち心疾患と脳血管疾患は、高血圧と深い関係にあります。高血庄の状態が長く続くと血管の肥厚や動脈硬化、心肥大が進行し、心臓では狭心症や心筋梗塞、心不全などが、脳では脳梗塞や脳出血が起こりやすくなるのです。
日本人で高血圧になる人の割合は高く、 平成18年の調査では、正常高値血圧者と高血圧症を示す人は、合わせて5,490万人に達し、急増の一途を辿っています *7。
平成19年には、40歳以上のおよそ3人にひとりが高血圧であると報告されています※2。しかし高血圧には痛みなどの自覚症状がほとんど無いため、自分が高血圧であることに気がつかなかったり、高血圧と診断されてもそのまま放置したりする人が数多く見られます。その間にも血圧は加齢などと相まって静かに上昇し、やがて心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気へとつながっていくのです。
高血圧になる人の割合は今後も高齢化に伴って増加すると予想されることから、高血圧の治療法や予防法の開発は、私たちの健康と長寿を守る上で見過ごすことのできない課題です。
高血圧の発症には、他の疾患が原因で発症したものでない場合、運動不足や食生活の乱れ(塩分や糖質、脂質、アルコールの過剰摂取、野菜不足)といった生活習慣が大きく関わっています。したがって、健康である普段から運動や食事に気をつけることで、高血圧の大部分を予防することができます。
また、高血圧と診断されても、緊急の場合を除いてすぐに治療薬が使用されるわけではなく、まずは生活習慣の改善を行い、それでも血圧が正常値まで下がらないときに、個々人の状態に応じて薬物療法が開始されます。
しかし、治療薬は血圧を適切に下げることはできても、高血圧の根本原因を解消することはできないため、薬物療法を開始しても、生活習慣の改善には引き続き取り組む必要があります。つまり、高血圧の予防においても、治療においても、適切な生活習慣を身につけることが最も重要なのです。
高血圧症の人が急増する現在、血圧を下げる作用をもつ食品成分が注目を集め、特定保健用食品(トクホ)として利用されています。そのような中、ローヤルゼリーについても、アミノ酸が繋がった “ペプチド”を豊富に含むローヤルゼリータンパク質加水分解物の血圧改善作用が、ヒト試験で報告されています※3。
この試験では、ローヤルゼリータンパク質加水分解物を1日あたり500 mg、1,000 mgおよび5,000 mgの各用量とローヤルゼリータンパク質加水分解物を含まない偽薬をそれぞれ、16-17人のグループに4週間連続摂取させたところ、偽薬および1日500 mg摂取させたグループでは血圧に大きな変化が見られなかったのに対し、1,000 mgおよび5,000 mgグループでは血圧改善作用が認められました。このことから、今回実施した1日摂取量の範囲において、ローヤルゼリータンパク質加水分解物は、摂取量に比例して血圧改善作用を示すことが確認できました。
また、この試験とは別のヒト試験※4を行い、血圧が高めの人(最高血圧130~159 mmHg、最低血圧85~99 mmHg)を、年齢や血圧、肥満指数(BMI)などの数値や、性別などにばらつきが無いよう2グループに分け、一方には、ローヤルゼリータンパク質加水分解物1日 1000 mgを、もう一方には、ローヤルゼリータンパク質加水分解物を含まない偽薬を、どちらを飲んでいるかわからない状態で、12週間連続で摂取させ、血圧の推移を観察しました。
偽薬を摂取するグループが必要であるのは、プラセボ効果という、「ローヤルゼリーを摂取しているから身体に良い」という思い込みによる影響を除くためです。つまり、偽薬を摂取したグループと比べて、ローヤルゼリータンパク質加水分解物錠を摂取したグループの方に何らかの効果が現れた場合、それは間違いなくローヤルゼリータンパク質加水分解物によるものだと言えるのです。
摂取開始から10週間後と12週間後の血圧は、偽薬を摂取したグループ(53人)の血圧よりも有意に低い値でした(図1緑破線)。さらに摂取期間中、ローヤルゼリータンパク質加水分解物による有害な事象は認められず、摂取を止めても穏やかに摂取前の血圧値に近づき、摂取前よりも血圧が高くなるようなリバウンドの反応も見られませんでした。以上のことから、ローヤルゼリータンパク質加水分解物は安全性が高く、適度な血圧改善作用を持つことが明らかとなりました。
ローヤルゼリータンパク質加水分解物が血圧を下げるメカニズムについても報告があります。ローヤルゼリータンパク質加水分解物の成分を分析した結果、アミノ酸が2~3個繋がったペプチド(イソロイシルバリルチロシン:IVY)が発見されました※5。このペプチドには、血圧を上げる酵素であるアンジオテンシンI変換酵素(ACE)の活性を抑える働きがあり、ローヤルゼリータンパク質加水分解物の血圧改善作用においても重要な役割を果たしていると推定されています※6。
ここでご紹介したように、ローヤルゼリーの血圧改善作用について、さまざまな観点から研究が進められています。生活習慣の改善に併せて、このようなサプリメントを上手に取り入れることは、高血圧の予防に有効であると言えるでしょう。