山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

毎日の予防医学教室 自覚症状がない高血圧症の怖さ

今や高血圧の人は、日本全国で約4,000万人。予備軍を含めると、5,500万人に上る、ともいわれています。国民の約2人に1人が高血圧症で、まさに国民病といってもよいかもしれません。この病気は、自覚症状もなく進行し、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全などの病気を引き起こします。そんな身近で怖い高血圧症を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。老化と寿命研究の第一人者で、高血圧症にも詳しい順天堂大学大学院教授・白澤卓二さん(56)に高血圧の予防法などについて伺いました。

順天堂大学大学院教授 白澤卓二(しらさわ たくじ)

順天堂大学大学院教授 白澤卓二(しらさわ たくじ)

1958年神奈川に生まれる。東京都老人総合研究所研究員などを経て現職。日本抗加齢医学会理事。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学など。著書に「100歳までボケない101の方法」(文春新書)など多数。

血圧はストレスで急上昇することも

血圧は、健康状態を示すバロメーター。血圧が高いと、いろんな病気を引き起こすリスクが高まる、といわれています。高血圧症とは、どんな病気ですか。

白澤

血圧は、血液が血管の壁を押す圧力のことで、その圧力が強くなり、心臓や血管に慢性的な負担がかかった状態を高血圧といっています。最近、人間ドック学会などで健康の基準値を見直し、高血圧の数値についても緩和する動きがありますが、日本高血圧学会のガイドラインでは、上(収縮期血圧)が140㎜Hg、下(拡張期血圧)が90㎜Hgを超えた場合に「高血圧」と診断されます。

血圧は、自宅で測った場合と病院で測った場合とで、数値が違うことがよくあります。なぜですか。

白澤

血圧は、自宅で測った場合と病院で測った場合とで、数値が違うことがよくあります。確かに自宅で測ったら正常値なのに、病院で測ったら「高血圧」といわれることもよくありますね。この現象を「白衣高血圧」と呼んでいます。病院で医師や看護師さんの白衣を見て緊張したり、検診で重大な病気が見つかるのではないかなどと恐れて血圧が上がることから、こう呼ばれています。逆に、自宅で測ったら高血圧だったのが、病院で測ったら正常だったというケースもあります。これを「仮面高血圧」と言います。

血圧は、その時の状況によって微妙に変わるんですね。

白澤

測る場所だけでなく、季節や体調、心のありようなどによっても変化します。特に、血圧は自律神経と深く関わっており、何らかの理由で緊張したり、ストレスを受けると自律神経の中の「交感神経」の緊張が高まり、心臓から送り出される血液の量が増えて血圧が上がるのです。だから、正しい数値を測るには自宅のような落ち着いた状態の中で測ることが大事です。できれば毎日、朝と夜の寝る前に測って、その数値を記録しましょう。そうすれば、数値が高ければ「医師に診てもらおう」という気持ちになったり、治療の効果を実感することもできます。

自覚症状がない静かなる殺し屋

高血圧をそのまま放置すると、どうなりますか。

白澤

「サイレントキラー」という言葉があります。日本語に訳せば「静かなる殺し屋」といったところでしょうか。目の前に姿を現さず、知らないうちにやってきて殺人者になる。そんな怖い病気が高血圧といってもよいでしょう。放置すれば自覚症状がないまま、病状は静かに進行し、気づいたときには脳梗塞や心筋梗塞、腎臓病、動脈硬化などになって、寝たきりや認知症の原因になったり、最悪の場合は命を落とすことだってないとはいえません。こうしたサイレントキラーから身を守るには、まず血圧を毎日、規則正しく測定し、高血圧が続いたら治療を受けることが重要です。

なぜ、高血圧になるのですか。

白澤

血圧は、加齢とともに高くなり、男性は50歳代、女性は60歳代で半数近くが高血圧症になるといわれています。高血圧の原因は、塩分の過剰摂取やお酒の飲み過ぎ、ストレス、肥満などいろいろありますが、最大の危険因子は何といっても塩分の摂り過ぎですね。かつては、冬が長くて寒い東北などでは、漬物や塩鮭などの保存食をよく食べていたため、1日30gの食塩を摂るのも珍しくありませんでした。その後、冷蔵庫が普及したり、食の洋風化で今食塩の平均摂取量は約11~12gと、だいぶ減ってきました。それでも、米国や英国などと比べるとまだまだ多目で、高血圧を予防するには十分といえません。

高血圧といわれたことがある者の割合

徐々に減塩すれば素材の味がわかる

では健康上、1日当たりどのくらいの食塩を摂ればよいのですか。

白澤

減塩は高血圧の予防、治療の基本です。国の健康づくり運動である「健康日本21」では、摂取目標を10g未満としていますが、WHO(世界保健機関)は、もっと厳しく5g未満、日本高血圧学会でも6g未満を目標にするよう、推奨しています。

でも、今まで12gの食塩を摂っていた人が、いきなり半分以下にすると、食事のおいしさが感じられなくなりませんか。

白澤

確かに、いきなり一気に減塩すれば、食事のおいしさが損なわれるかもしれません。そうならないためには、少しずつ減塩し、味覚を薄味に慣らしていくことが大切です。煮物や汁物は、出汁をしっかり取ると旨みが出て、その分塩分を控えることができます。薄味に慣れてくると、素材そのものの味が感じられるようになります。それと、イモ類やホウレンソウ、ワカメ、ナッツなどカリウムをたっぷり含んだ食材を積極的に摂るのも一つの手ですね。カリウムは、塩分の体外への排出を促してくれます。また、みそ汁を具だくさんにして汁を減らせば、より減塩効果があるでしょう。

カリウムの多い食品

せっかく減塩しても、料理にしょう油やソース、ドレッシングなどをたっぷりかけたら、何の意味もありません。調味料を使い過ぎないために何かよい方法はありませんか。

白澤

確かに調味料の中には、高カロリー、高脂肪のものや糖質、塩分を多く含んだものもあります。こうした調味料を使い過ぎないためには、使う分だけ小皿に分け、食卓には調味料を一切置かないことです。その代わりにユズやレモンを使ったり、酢やコショウで味にアクセントをつけるのもよいかもしれません。しょう油やミソをどうしても使う場合は、減塩タイプのものを使うことをお勧めします。

食塩摂取量の平均値の年次推移

運動は血圧を下げ塩分を排出する

高血圧を防ぐには、運動も欠かせません。

白澤

高血圧を防ぐには、運動も欠かせません。 運動は、血圧を下げるだけでなく、塩分を体外に排出するのを促す作用があります。それに、動脈硬化の原因ともなる肥満の改善・予防にもつながります。特にウォーキングや水中での歩行などの有酸素運動が有効で、こうした運動は体に負担もかからず、継続して行えば、効果が期待できます。とにかく、高血圧を予防し、治療するには、減塩を中心とした食生活や適度な運動に加え、喫煙を止めるなど生活習慣を見直し、それでも改善が見られない場合は、薬による治療が必要になります。

山田養蜂場は、血圧の抑制とローヤルゼリーの関連性について研究しています。

ローヤルゼリーが血圧に与える影響について試験を行いました。

ローヤルゼリーの飲用が血圧にどのような影響を与えるのか? 独自の試験を行いました。その結果、ローヤルゼリーを飲用したグループでは、最高血圧と最低血圧の両方が、飲用開始から10週間後と12週間後に低下しました。

試験方法

血圧が比較的高めの人を集め2つのグループに分けて試験を行いました。一方にはローヤルゼリーを、もう一方にはプラセボを12週間飲用してもらいました。

ローヤルゼリーが血圧に与える影響について試験を行いました。

みつばち健康科学研究所 所長 理学博士 橋 本  健

ミツバチの恵みには、未だ解明されていない多くの可能性が眠っています。
ミツバチと向き合って半世紀以上、山田養蜂場は
その可能性の扉のひとつひとつを科学の力で開いてきました。
これからも予防医学の進化のために、山田養蜂場の研究は続きます。

ミツバチが秘めた可能性を、予防医学に。科学する目で、ミツバチの恵みを研究してまいります。