山田養蜂場運営の研究拠点「みつばち健康科学研究所」が発信する、情報サイトです。ミツバチの恵み、自然の恵みについて、予防医学と環境共生の視点から研究を進めています。

毎日の予防医学教室 どう乗り切る? 更年期

女性の体は、更年期に入ると大きく変化し、のぼせや冷えなど体の不調に悩まされることも少なくありません。 その主な原因は、閉経による女性ホルモンの減少といってもよいでしょう。 また、この時期は子どもの自立や親の介護、死別なども重なって抑うつ気分に陥りやすいのも特徴。 その症状は人によって様々ですが、日常生活に支障をきたす人も珍しくありません。辛い症状や不調を解消し、更年期を楽に乗り切るにはどうしたらよいか。 寿命と老化の第一人者で、更年期障害にも詳しい順天堂大学大学院教授の白澤卓二さん(56)に更年期を快適に過ごす方法などについて伺いました。

順天堂大学大学院教授 白澤卓二(しらさわ たくじ)

順天堂大学大学院教授 白澤卓二(しらさわ たくじ)

1958年神奈川に生まれる。東京都老人総合研究所研究員などを経て現職。日本抗加齢医学会理事。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学など。著書に「100歳までボケない101の方法」(文春新書)など多数。

女性ホルモンの減少から心身に不調が

女性の更年期は、体や心にさまざまなトラブルを抱えやすい、といわれています。更年期障害とは、どんな病気ですか。

白澤

医学的には閉経の前後約10年間を更年期と言います。日本人女性が閉経を迎えるのは、平均して50.5歳ですから、この時期を挟んだ10年間、大体45歳から55歳ぐらいまでが更年期に当たるでしょう。この時期になると、女性の多くがバランスを崩し、心身に不調をきたす、といわれていますが、その症状も人それぞれで、日常生活に大して影響が出ない場合を「更年期症状」、日常生活に差し支えるほど重い症状を「更年期障害」といいます。更年期障害になると、治療が必要になりますね。

女性ホルモン「エストロゲン」の変化

症状にも個人差があるのですね。一般的に更年期にはどんな症状が表れますか。

白澤

代表的な症状としては、顔や体が急にほてったり、のぼせたりする「ホットフラッシュ」をはじめ発汗、不眠、頭痛や冷え、肩こり、めまい、動悸、息切れなどですね。それと心の不調としてはイライラや不安感のほか、気分が落ち込んだり、やる気が出ないなどの抑うつ気分も出てきます。更年期障害は何も女性だけに表れるものではなく、最近は、男性ホルモンのテストステロンの減少による男性の更年期障害もよく知られてきました。

更年期になると、なぜ心身に不調が出るのですか。

白澤

女性の一生には女性ホルモンが大きく関わっています。女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロンの2種類があり、脳の視床下部から下垂体、卵巣という流れに沿って分泌されます。エストロゲンの分泌は20~30代にかけてピークを迎え、閉経に向かう更年期には、卵巣の機能が徐々に衰え、女性ホルモンの分泌が急に減って、閉経になると、ほとんど分泌されなくなります。そうすると、女性ホルモンの司令塔である脳の下垂体がエストロゲンの分泌を無理に促そうと「卵胞刺激ホルモン(FSH)を過剰に放出するため、自律神経中枢が刺激され、そのバランスが崩れて様々な心身の変調を引き起こすのです。

家庭や職場のストレスも悪化の原因に

この時期は、女性ホルモンの減少だけでなく、家庭や職場でもいろんな問題が重なってストレスも増えますね。

白澤

40代~50代の女性は、ライフステージのうえでも一つの節目を迎えます。家庭では子どもたちの自立や肉親との死別、親の介護、夫の定年や夫婦関係の変化などがあり、仕事をしていれば管理職としての責任が重くなり、仕事の行きづまりや年齢によるリストラなど多くのストレスを抱えがちです。こうした心因的な要素が加わると、更年期障害の症状がより重くなるといわれています。ストレスをうまく発散し、規則正しい生活をしてホルモンのバランスを整えることが、いかに大切かがお分かりいただけるでしょう。

症状を和らげる ホルモン補充療法

更年期の症状は、人によって千差万別。中には何も感じない人もいる、といわれていますが、症状がひどい時はどうしたらよいですか。

白澤

更年期障害は、体がホルモン環境に順応する閉経の数年後には自然と治りますが、症状が辛い時は、我慢せず婦人科の更年期外来の受診をお勧めします。治療として最も効果が高いのが「ホルモン補充療法(HRT)」ですね。更年期障害は、基本的にはエストロゲンの欠乏が引き起こすものですから、その不足分を人工的に補い、辛い症状を和らげるのがHRTです。一般的には30日間、エストロゲンを投与し、そのうち12日間はプロゲステロンも一緒に服用する「周期的投与法」がよく用いられます。この補充療法によって、おおむね40代前半の女性ホルモンの量が確保され、特に「ほてり」や「のぼせ」などのホットフラッシュは投与から2~3週間で大幅な改善が実感できるでしょう。息切れや動悸もプロゲステロンが相乗効果を発揮します。ただ、乳がんや子宮体がんに罹ったり、治療中の人、さらに重度の肝臓疾患や血栓症、塞栓症の人などはHRTを受けることができません。

更年期障害には漢方薬も効果的、といわれています。

白澤

 漢方薬はその人の体質や症状などを総合的に診て、その人に合う薬が処方されますから、うまく合えば2~3週間で症状がぐんと和らぐでしょう。その通りです。漢方薬はその人の体質や症状などを総合的に診て、その人に合う薬が処方されますから、うまく合えば2~3週間で症状がぐんと和らぐでしょう。例えば、ホットフラッシュなど血管系の症状には「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)、抑うつや不眠などには「加味逍遥散」(かみしょうようさん)、冷えや肩こりなどには「桂枝茯苓丸」(けいひぶくりょうがん)が効くといわれています。

大豆は効果的な食べる女性ホルモン

辛い症状を抑えるには、不足したエストロゲンの働きを食品で補うのも一つの方法と聞きました。

白澤

イソフラボンを多く含む食品更年期前後の女性は、どうしてもホルモンバランスが崩れ、心身が不安定になります。この症状を日頃の食事で補うのも有効ですね。それには、大豆のポリフェノール、イソフラボンが一番です。分子構造がエストロゲンとよく似ているため、その欠乏症状を緩和してくれます。大豆イソフラボンは更年期障害だけでなく、骨粗しょう症や乳がんの予防など女性のためにあるような成分で、「食べる女性ホルモン」といってもよいでしょう。大豆イソフラボンは納豆、豆腐、豆乳、黄粉などの大豆食品に豊富に含まれていますが、できれば1日に40~50㎎、豆腐なら半丁、納豆なら1パック程度を毎日の食卓に加えたいものです。それと、ホルモンバランスの乱れを正常に戻すにはビタミンEも欠かせません。ナッツ類に多く含まれていますので、アーモンドやピーナツをおやつに食べたり、料理の食材として積極的に摂るのもポイントです。

更年期は女性にとって人生のターニングポイントでもあります。更年期を楽に乗り切るためのアドバイスを。

白澤

更年期は症状に個人差はあっても、「誰もが通る道だ」と受け止め、生きがいや趣味を楽しみながら前向きに生きることが大切です。それが人生の後半戦を有意義に生きるスタート台になる、と思いますね。

山田養蜂場は、更年期の冷えや肩こりとローヤルゼリーの関連性について研究しています。

冷え症に関する研究報告

ローヤルゼリーが冷え症に与える影響について試験を行いました。

ローヤルゼリーの飲用が冷え症にどのような影響を与えるのか?独自のヒト臨床試験を行いました。その結果、ローヤルゼリーを飲用したグループでは、手指の表面温度の冷えからの回復が早くなりました。

試験方法

冷え症の女性16人を、A:ローヤルゼリーを飲用するグループと、B:プラセボ※を飲用するグループの2つに分け、2週間継続して飲用してもらいました。その後、両手を水に浸して温度を下げる「寒冷ストレス負荷」をかけ、手指の表面温度が回復する様子を比較しました。

ローヤルゼリーが冷え症に与える影響について試験を行いました。

肩こりに関する研究報告

ローヤルゼリーが肩こりに与える影響について試験を行いました。

ローヤルゼリーの飲用が肩こりにどのような影響を与えるのか?ヒト臨床試験を行いました。その結果、ローヤルゼリーを飲用したグループでは、首筋のハリなどの自覚症状が改善されました。

試験方法

肩こりの自覚症状がある更年期周辺の女性20人をA:ローヤルゼリーを飲用するグループと、B:プラセボ※を飲用するグループの2つに分け、4週間継続して飲用してもらいました。

ローヤルゼリーが肩こりに与える影響について試験を行いました。

みつばち健康科学研究所 所長 理学博士 橋 本  健

米国ハーネマン医科大学でSenior scientistとして、ミトコンドリア研究に従事後、製薬企業で20年間、創薬(有効性・安全性・薬物動態)に携わり、その後10年間、山田養蜂場みつばち健康科学研究所にて食品の機能性研究に取り組んできた。

ミツバチが秘めた可能性を、予防医学に。科学する目で、ミツバチの恵みを研究してまいります。